LA FEMME COUPEE EN DEUX

クロード・シャブロル監督作品『引き裂かれた女』の公開初日となりました。
いきなりプッチーニのオペラ《トゥーランドット》のアリア「この宮殿の中で」の中盤が流れだしますが、メロマーヌのシャブロルらしく、現役盤じゃない古めの音源。パンフレットでは詳細がありませんでしたが(記載されている年号は誤植?)、使われたのは名歌手レオニー・リザネックが1958年に録音した「Operatic Arias」というRCA VictorのLiving Stereoシリーズの一枚の中に収録されたもの。このLPはリザネックがステージを引退する1997年に初CD化されましたが、そんなことも知らずに運よくモンペリエ・ラジオ・フランス音楽祭での《エレクトラ》演奏会を聴きに行ったりしたので、後でこのCDを見たら、彼女のコメントで「ステージ引退という時にこのアルバムが再発売されることを喜んでおります」などと書いてあって、そうなのかと感慨深くなったりました。本人も自身作とのこと。数多い録音のなかで、これをわざわざ選ぶのも何かあったのか?いい年の人が聴くならともかく、設定はマチルダ・メイ扮する作家の秘書がカーステで聴いているというものなので…。ラジオではなかったようだし。

Leonie Rysanek - Operatic Arias Giacomo Puccini
Turandot: In questa reggia
Soprano: Leonie Rysanek
Conducted by Arturo Basile
(1958. RCA Victor )
Remastered 1996 / BMC Classics 1997

もう一曲劇中で印象的に流れるのは、ジュリアン・クレールの1972年の作品「Elle a au fond des yeux」。これを今時懐かしんで聴いているのはおっさん趣味ということになります。これまたCD化されたのが、同じ1997年とうのはどいうことか…。たまたま両方ともこのころに買っていてこの映画の構想ができたのか???

Liberte, egalite, fraternite... ou la mort Julien Clerc
Elle a au fond des yeux
(« Liberte, egalite, fraternite... ou la mort » 1972)

といった余談はともかく、シャブロルらしいブラックな笑いがある妙な作品なので、ニタつきながら楽しんでもらいたい作品である。