LE DERNIER METRO

先週24日に「逃げ去る恋」が放映されましたが、その夜、主演の一人マリ=フランス・ピジエが他界されるというショッキングなニュースがあり、まさに亡くなられるときにこの大好きな映画を見ていたんだなと泣けてきました。後悔とういのは先立たないもんですが、やっぱりニースで上演していたサシャ・ギトリ作「Le nouveau testament」の公演を行くべきでした。たまたまカンヌに行かねばいけなくて、早く引き上げられてれば見られたかもしれなかったのに。昨年はマルセル・プルーストののことを舞台化した作品にマイケル・ロンズデイルと共演していたのも気になっていたんですが。ただ、今年はフィルム・センターで久しぶりに上映れたDVD化もないマニュエル・ポワリエ監督作「マリオン」を再見できたので今思えば意を決して行ってよかったです。

このところ「映画の日」は雨だったり、今日は強風だったりいつも問題ばかりでチャリで出かけるには厳しいので、留守録しようとしていた「終電車」を結局見ることに。MXテレビフランソワ・トリュフォー特集ですが、「逃げ去る恋」の昔のひどいビデオ素材をだったので、今日の「終電車」も期待しておりませんでしたが、なんと今回はHD素材でした。つまりクライテリオンのブルーレイと同じということ!? フランスのDVDはきれいでもPALだったので論外でしたが(アラン・スーションの主題歌がいきなり早回しで興ざめ)、クライテリオンのブルーレイをまだ買っていなかったので、助かります(といっても今値を下げているので買おうかと決心したのに、品切れで、大量入荷したと思ったら値段が戻ってた!)。

それにしてもこんなことをMXの2の方でやっているとは。ただ途中で地震速報が入ってしまい、台無しに。この速報テロップはいい加減なんとかしてもらいたい。こういう貴重品を放映しているときは、テロップ処理じゃなく、映像を中断して速報を流すようにしてくれると、後でその部分を削除しできるんだけど。とは言っても、何度見ても見始めると困ったことにやめられないので、結局見直してしまいました。終電車ってぐらいなので暗い個所の多い作品なので、このようないい状態で見られるのはいいことです。大き目の薄型テレビで見ると今までのしょぼさとは雲泥の差なので新鮮です。
ところで、映画ではモンマルトル劇場という架空の劇場が舞台となっておりますが、劇場の内部はサン・ジョルジュ劇場とのことですが、そちらはアベスよりではなく、どの駅からも中間にある面倒な場所で、帰りにピガール駅を使うと呼び込みに日本語で声かけられる行きたくない場所。それでも一度は行ったけど、あまりいいつくりとは思えなかった。というか、フランスの劇場は信じられないくらい座りにくいし、大柄な人はどう考えても座れないほどきつきつ、それに地下鉄の音の振動とかあってつらい。サイトではうちで撮影したなんて書いておりますが、その片鱗はありません。

なおサイトでは触れてないですが、もっと活躍したのはモンパルナス劇場の方で、劇場の周りをうまく街並みのようにして撮影しております。楽屋口やその階段横の花壇、劇場前のカフェ、駐車スペースなど、サイトにあった写真を見ると併設のバー・レストランなども使っていたことがわかる。ドパルデューが激怒してジャン=ルイ・リシャール演じる評論家ダクシアを突き飛ばし大雨の中建物の外に追い出す場面。ここでレストランと劇場が同じということがわかるので、当たり前といったら当たり前の設定なんですが、その建物の構造を知らないと、なんなんだと思うかも。

それはそうと、この劇場はいい演目が多いので、何度か行ってますが、チケットを昼間に買いに行く以外は公演後に出待ちとかを積極的にしていなかったので、あまり劇場周り観察していなかったのですが、15年ほど前に「Le libertin」のマチネを終えたベルナール・ジロドーが舞台を終えるのを待ってぶらぶらしていたら、ここが「終電車」の撮影で使った場所であることがよくわかった。受付の人に後で聞いたら、若いので詳しくは知らないが、使ったということは聞いているとのことでした。ジロドー氏には他の舞台でも見られることを期待していましたが、その後癌によって闘病生活となり昨年他界してしまいショックでした。ちなみに、ジロドー氏とは度々共演したリシャール・ボーランジェもこの映画には出てましたが、役が役なのでいい思い出ではなかったようで。はす向かいのプチ・モンパルナスもいい公演が多いですが、そこで上演したジャン=マリー・ブセ作「Ce qui arrive et ce qu’on attend」のチケットを買いに行った際は、劇場入りする主演のサビーヌ・オードパンと出くわしましたが、チケットを買っている最中で場は離れられず通り過ぎてしまいました。ちなみに共演は故マリ=フランス・ピジエ、トリュフォークロード・ミレールの「伴奏者」で頭角を現したサミュエル・ラバルト、それにジュディット・マグルといううれしいキャストで、話題となりました。
ちなみに、モンパルナス劇場ということなので、最寄駅がアベスとか言っておりましたが、あの駅は使つ機会がなかなかない。アベスといえばジャン・ルノワールの「フレンチ・カンカン」でマリア・フェリクスが演じた役「ラ・ベル・アベス」でした。この映画自体が、ルノワールの戯曲「Carola」にインスパイアされているといのは、知りませんでした。

終電車

終電車