『若草物語』

若草物語』 LITTLE WOMEN
(1994年/ジリアン・アームストロング監督)
2006年10月25日10時15分〜12時15分 WOWOWオンライン 放映

本当はフィルムセンターオーストラリア映画祭で『わが青春の輝き』を見直したいところですが、無理なのでこちらを録り直し。
この映画のオペラを見るシーンはかなり無理がある感じでした。舞台で演じられていたのは、日本でもフェニーチェ歌劇場の日本公演でも上演されたことのあるジョルジュ・ビゼーの歌劇《真珠取り》。この時代にこの場所でこのフランス語のオペラがアメリカの地方で公演されていたのかは、検証しないと何とも言えませんが... 大概翻訳したりするもんだと思いますが。それより、オペラのヒロイン、レイラ Leïla が、ライラと字幕で出て来てガックリ。音声聴けば分かるのに、適当に台本見ただけで訳したのでしょう。

フランス語版なのは単に既成のCD音源を使っただけなので、仕方ないですが、サントラ盤にも収められていないそのCDは、ミシェル・プラッソン指揮、トゥルーズ・カピトル管弦楽団 (EMI)による名盤。日本未発売。
歌唱はバーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ、レイラ)、ジョン・エイラー(テノール、ナディール)。

"Leïla ! Leïla ! Dieu puissant"
"Les pêcheurs de perles", Acte 2. No 9
Composed by Georges Bizet
Performed by Barbara Hendricks and John Aler with Orchestre du Capitole de Toulouse
Conducted by Michel Plasson
Courtesy of EMI Classics
Under license from CEMA Special Markets
(P) 1989 EMI Pathé Marconi S.A.

Bizet: Les pecheurs de perles

Bizet: Les pecheurs de perles

なお、パーティのシーンやクリスマスの歌はクレジットされてませんでしたが、サントラ盤には劇中で使用された既成曲は幾つか入っており、何の説明もないままインデックスに明記されておりました。

07. La Fayette's Welcome, by Franc (Francis) Johnson
13. Maria Redowa, by Gaetano Donizetti
18. For the Beauty of the Earth - music by Conrad Kocher, words by Follott S. Pierpoint
Vocals by Trini Alvarado, Kirsten Dunst, Claire Danes
22. Port Royal Gallop, by Claudio Grafulla

CDの13曲目に収められた「Maria Redowa」ですが。日本盤のタイトルは「マリア・リダウァ」としてましたが、見ての通り誤りで、ガエターノ・ドニゼッティの《マリア・レドヴァ》のワルツ。なぜ、アメリカのボストンの片田舎でこんな作曲家の曲が流れるのかというと、スティーヴン・フォスターが様々な舞曲を一部自作と織り交ぜて編纂した「The Social Orchestra」(1854年)にこれが収められているから。この中の一部を録音したLPは1974年にリリースされたことがありますが、何といっても、ジェイムズ・アイヴォリー監督による映画『ヨーロピアンズ』(1979)のパーティ場面でその「ソーシャル・オーケストラ」The Social Orchestra の大フィーチャーし、サントラ盤でも15分にも及ぶ組曲として収録したことが、映画界に影響を及ぼしたとも言えます。この『若草物語』のパーティ・シーンでも全くパクったとしか思えないような作りで、しかも同じ曲だったのは特筆すべきことですが、なにせ日本ではビデオで出ただけなので、日本の観客が知る由もない。
若草物語』日本盤CDのライナーではプリンセス・プリンセス奥居香が特別寄稿していて、さすがは音楽家だけに、サントラには入ってないけど劇中でローリーが弾く曲が彼女の好きなショパンの「ワルツ イ短調」だったことに"おぉ"と喜んだ、と書かれていたりするのですが、肝心の解説の方ではスコアを作曲したトマス・ニューマンの経歴に始終しただけで、収録楽曲には一切触れずじまい。これじゃ、映画に感銘を受けてCD買った人には不満だったでしょう...よくあることですが(私はタダで図書館で借りたので損はないですが)。
↓「ヨーロピアンズ」の中古CD

The Europeans

The Europeans

18曲目はクリスマスのシーンでみんなで歌う場面ではの聖歌で「この世の美しさゆえに」と訳され、歌われるものですが、原題の「For the Beauty of the Earth」ただ「フォー・ザ・ビューティー・オブ・ジ・アース」なんて全く調査もせずに曲名を付けていたりしています。

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