THE FLY

シャトレ劇場は今シーズンから総監督が変って庶民路線にするそうで、フランシス・ロペスの《メキシコの歌い手》(TV放映され、DVD化待ち!初夏にまた公演だけど)を大成功させてからは、ロバート・カーセン演出でレナード・バーンスタインの《キャンディード》(TV収録が放映され、DVD化待ち!初夏にスカラ座で上演)、スピノジ指揮でロッシーニの《試金石》(DVD収録)、4月には超王道の《カルメン》をマルク・ミンコフスキ指揮で上演(でも当初予定されたサンドリーヌ・アングラードの新演出ではなく、ベルリン州立歌劇場のマルティン・クシェイ演出によるプロダクションを上演することに....ミンコさん昨年のイフィジェニーに続いてまたこんなことが...)するなど、それまでとは大違いの方向に。

2007-2008年シーズンは、ボリウッド映画「Devdas」の監督サンジャイ・リーラ・バーンサリ Sanjay Leela Bhansali の演出による《The Times of India》の公演を始め、またもスピノジ指揮でメサジェの《ヴェロニク》(12月)をファニー・アルダンが演出するとか、サンタフェ音楽祭で上演したロラン・ペリー演出によるマスネ《サントリヨン》をステファニー・ドゥストラック出演でミンコフスキが指揮するとかいった話が飛び交っております。

そしてシーズン最後の演目として2008年夏に上演されるのが、なんとデイヴィッド・クローネンバーグの映画『ザ・フライ』のオペラ版。しかもクローネンバーグが演出し、映画のスコアを担当したハワード・ショアが作曲、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で監督と組んだイタリアの名手ダンテ・フェレッティが美術をデザイン、台本は『Mバタフライ(エム・バタフライ)』のデイヴィッド・ヘンリー・ホワンがそれぞれ担当し、万全の体勢!? LAオペラとの共同製作で2008年9月の新シーズン開幕作品に持ってくるなど、総監督プラシド・ドミンゴ自身が指揮をするとうことで、ノリノリのよう...。とってもグロな企画ですが。最近やっと見れた『ウィル&グレイス』に、復讐に燃える変な男で登場するジェフ・ゴールドブルムがこの映画ばりに無気味で、ウケていた矢先にこんな話が....。それにしてもこのぐじゃぐじゃな役を全裸になったりして演じる変態歌手っているんだろうか? 彼のように病的でひょろ長い歌手って? エド・ライアン? ニコラ・リヴァンク? 裸OKだったら見せたがりのネイサン・ガンやサイモン・キーンリサイドがやったら、萌えそうな人続出のヒット商品になりそうだけど...(後者はクローネンバーグ好みかも!オペラ界のレイフ・ファインズ?)。
ロラン・プティジラールによる『エレファント・マン』のオペラ化や、大失敗した『キャリー』のミュージカル版、成功した『シザーハンズ』のバレエ版と『ウェディング・シンガー』『ペテン師と詐欺師 だまされてリビエラ』『ヘアスプレー』のミュージカル版などいろいろありますが、これはどうなるやら?その前にこの春には『ザナドゥ』のミュージカル版がもう出だしで期待された主演がTVの仕事を取って降りたりして波乱含みですが(6月に遅れ、より若い主役に高音が出せる人に変わったのでイケルかも)。ま、『エンジェルス・イン・アメリカ』のオペラ版もシャトレがやったので、その流れという気もしないでもないですが。