FILM TO MUSICAL

映画のミュージカル化がブロードウェイやウェストエンドを席巻しておりますが、昨シーズンは『キューティ・ブロンド』が《Leagally Blonde》として成功を納めて幕となりましたが、その前から上演していた《カラー・パープル》は「アメリカン・アイドル」から生まれたファンテイジアが出演して再注目されたりしました。新シーズンの一番の注目はメル・ブルックスの『ヤング・フランケンシュタイン』が来年のトニー賞独占が期待されますがそれ以外にも次々とあるので、とりあえず...。

7月10日(日本で11日)、ブロードウェイの新シーズン最初のミュージカル《Xanadu on Broadway》が当初の予定より遅れて(主演の骨折)、ようやくオープニングとなりました。1980年のミュージカル映画ザナドゥ』の音楽と大間かなプロットを活用した脚色作品です。初日には映画に主演したオリビア・ニュートン=ジョンもかけつけるということで注目されましたが、最後には舞台に招かれ総立ちの中無事成功を迎えれホッとしまた。映画の方は歴代のワースト映画の誉れ高い作品ですが、タイトル曲のカバー・ヴァージョンが最近キャメロン・ディアス出演の「Softbank」のCFソングとしても使われていたりして音楽の方は愛されて続けているし、この映画でやっていることは後にユーミンのステージやシルク・ド・ソレイユなどの元とも言えなくもないし、後の『ハイスクール・ミュージカル』の監督ケニー・オルテガの振付けはダンスの見本市のように高度な技を網羅しているので、カルトになるのは分かるというもの。

上演に心配する向きがありましたが、脚本家は今年のトニー賞候補となったコメディ《Little Dog Laughed》や映画『三人のエンジェル』のダグラス・カーター・ビーンなのでとっても"陽気"な作品になることは保証されていたので、実際バカ受けのようで、また見たいという人が続出しているそう。お堅い人向きでは全くありませんが、クダケタ批評家には概ね好評のようです。一番人気は皮肉にも映画にはない役の二人が歌うELOの70年代の曲『Evil Woman』の場面ですが、オリビアの出世曲『そよ風の誘惑』が使われているのもファンには嬉しいおまけ(その代わりに映画では『フール・カントリー』というメドレーとして歌われた後半部『カントリー』がなくなってますが...早替えも厳しいし突飛な展開なので仕方ないというか自然な判断!?)。なお、こちら(下のリンク)で初日のカーテン・コールのクリップがアップされております。なんとか、上演中に見られたらいいんですが...(8月にはキャスリーン・マーシャル新演出・振付けによる《グリース》も始まり、これには同じオリヴィア・ニュートン=ジョンらが歌った映画の書き下ろし曲も加えた版になるので、二本立てが都合がいい...10月にはナイアガラとかで本人のコンサートがあるけど...行けない!)。CNN「American Morning」でも初日のレポートがありましたが、サイトでは見られるのか!? なお、オリヴィアの歌を作ったジョン・ファラーも初日に現れましたが、コッポラと《Gadget》という「ゴー!ゴー!ガジェット」のミュージカル版を書き下ろすようで...!?

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なお、反対側のLAではジョン・ウォーターズの映画『ヘアスプレー』をミュージカル化した作品を更に映画化した『Hairspray』のプレミアが女装で主演のジョン・トラヴォルタ、『グリース2』のミシェル・ファイファー、『ハイスクール・ミュージカル』のザック・エフロンらを招いて上映されておりましたが、来月の《グリース》上演の際はこのようなバッティングにはならないよう、トラボルタとオリヴィアもプレミアに一緒に招かれればこれまた凄いことになるでしょうが...。ちなみにブロードウェイでの公演に'N SYNK (インシンク)のランス・バスが出るとうことですが、当初ロンドン初演に出るのかと思ってましたが...。そのロンドン初演が10月から始まりますが、ENOで《キスメット》に主演したマイケル・ボールが女装し、《ザ・ウーマン・イン・ホワイト》同様に肉襦袢を着てエドナ役を演じるということで、こちらも見逃せないことに...。
ちなみに、エフロン&オルテガのコンビがなんと、映画『フットルース』のミュージカル版のミュージカル映画版に取り組むというので、ビックリ...。映画→ミュージカル化→映画化という『プロデューサーズ』『ヘアスプレー』パターンの一本に加わるということです。かつてフェリーニの『カビリアの夜』をミュージカル化した《スウィート・チャリティ》はボブ・フォッシー監督で映画化されてますが、同じフェリーニの『8 1/2』のミュージカル版《ナイン》の映画化の話も浮上しはじめておりますが、それは《CHICAGO》チームを無視した『シカゴ』のチームなのでどうにでもなれって感じです。

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『カラー・パープル』に続くスティーヴン・スピルバーグ映画のミュージカルの化第二段は2002年のレオナルド・ディカプリオ主演作『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』Catch Me If You Can。2005年にマシュー・モリソン、トム・ウォパ、今年トニー受賞のクリスティーン・エバーソール(こううなったら本公演も出るしかない!)らでリーディングだけしておりましたが、やっとゴーすることに。フランク役はトニー賞候補となった《Leagally Blonde》を終えてこちらに参加する《スパマロット》のクリスティアン・ボール。トム・ハンクスが演じた役を似ても似つかない《プロデューサーズ》のおネイサン・レインが。プロダクション・クルーは"陽気"な《ヘアスプレー》チームに"陽気"なテレンス・マクナリーも参入し、男祭り。日本ではマーク・シャイマンって間違ってますが、シェイマンによると60年代の「エドサリヴァン・ショー」「フランク・シナトラ・ショー」「ジュディ・ガーランドTVショー」の雰囲気で行くそうで...といってもジュークボックス系じゃなく"風"で、それは《ヘアスプレー》と同様。来年の賞レースは『ヤング・フランケンシュタイン』と争うことになりそうですが、ボール (ボーリー?)の奥さんはそっちに出てますが。

  • 作曲:マーク・シェイマン Marc Shaiman
  • 作詞:マーク・シェイマン&スコット・ウィットマン Scott Wittman
  • 台本:テレンス・マクナリー Terrence McNally
  • 演出:ジャック・オブライエン Jack O'Brien
  • 振付:ジェリー・ミッチェル Jerry Mitchell

Catch Me If You Can

Catch Me If You Can

その、ロンドン、ウェストエンドでは『マドンナのスーザンを探して』のミュージカル版《Desperately Seeking Susan》をマドンナの音楽ではなくブロンディのヒット曲で構成して上演するとのことで、デボラ・ハリー、クリス・スタインらブロンディのメンバーと主演エマ・ウィリアムズらが同席して記者発表が昨日行われました。使用曲は言うまでもなく『ハート・オブ・グラス』『ドリーミング』『タイド・イズ・ハイ』『ワン・ウェイ・オア・アナザー』などなどで、歌詞を考えるとなぜブロンディにするのかが分かるというもの。はまり過ぎとも言える。せめて『イントゥ・ザ・グルーヴ』ぐらい使ってもらいたかったけど、《Xanadu》でも映画で使われた既成曲『You Made Me Love You』を外したように、同じ作者やミュージシャンで統一するとうのが、ABBAの《マンマ・ミーア》、QUEENの《WE WILL ROCK YOU》などのようなジュークボックス・ミュージカルの新ルールみたいなようで....。

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