MITRIDATE

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart
ポントの王ミトリダーテ》Mitridate, re di Ponto

  • 指揮:マーク・ウィッグルワース direction musicale | Mark Wigglesworth
  • 演出:ロバート・カーセン mise en scène | Robert Carsen
  • 美術:ラドゥ・ボルゼスク décors | Radu Boruzescu
  • 衣装:ミルナ・ボルゼスク costumes | Miruna Boruzescu
  • 照明:カーセン、ペーター・ファン・プラート éclairages | Robert Carsen, Peter Van Praet
  • 構成:イアン・バートン dramaturgie | Ian Burton
  • 演奏:ラ・モネ交響楽団 orchestre | Orchestre symphonique de la Monnaie
  • ミトリダーテ………ブルース・フォード Mitridate | Bruce Ford
  • アスパージア…メアリー・ダンリーヴィ Aspasia | Mary Dunleavy
  • シーファレ………ミルト・パパタナシゥ Sifare | Myrtò Papatanasiu
  • ファルナーチェ………ベジュン・メータ Farnace | Bejun Mehta
  • イズメーネ……ヴェロニカ・カンジェミ Ismene | Veronica Cangemi
  • マルツィオ…………マキシム・ミロノフ Marzio | Maxim Mironov
  • アルバーテ……ジェフリー・フランシス Arbate | Jeffrey Francis

30日に見たら、ファルナーチェ役は風邪っ引きでベジュンが降板し、急遽ブライアン・アサワに。以前、シャトレでルセがジャン=ピエール・ヴァンサン演出で公演した時は、逆にアサワが降りて、ベジュンが穴埋めしたことで、彼に注目を浴びましたが...。というより、今回の長丁場の公演で、ラジオ放送の公演も終わったから、降りたかったのかも。なにせ、休憩後に公演が再開すると、いきなりXX雑誌を見ながら手を上下にがんがん動かしている図で、イズメーネが入ってくると慌ててパンツとズボンをあげるというシーンでスタート。上の階から見ていたらパンツをおろしていたと分かるのだろうけど、土間だったのでそこまでしてるとは見えず、後でアサワ君に訊いたら本当にやっていたとの事。それより彼も急な依頼で当日風邪ぎみなのにやることになって、額にいやな汗かいていてかわいそうな感じでした。結局、ベジュンはその後も駄目で彼が担当 (風邪がまん延していて、客席も咳する人が多かった)。でも、こんなこと舞台で披露しなきゃいけないんじゃ、降りたいかも。カーセンって本当に下ネタ好き。それより、セットが爆破後の廃墟のビルというのが何とも寒い。いつも映画のパクリがありますが、今回は『リチャード三世』のイアン・マッケランオーソン・ウェルズの『オセロ』、それに『ゴダールリア王』(ノーマン・メイラーさんお亡くなりになりました...合掌)などシェイクスピア悲劇のキャラをイメージにしているといことで、パンフに写真を使用。分かりやすい。ラ・モネは日本公演も寒いものでしたが、現地も寒いところで、なんだかドッチラケな雰囲気がただよっており、これならラジオの方がまだいいかも。カーセンのマジックも今回のデザイン・チームは私の趣味ではなく、凍える。《夏の夜の夢》《オネーギン》とかのマイケル・レヴィーンとのコラボの方が好きです。来年はこっちのチームによる名プロである《カルメル派修道女たちの対話》(オルガ・パシチュニク出演)をヘントで、《夏の夜の夢》(ザッゾ、ピオー、ペイトン他)をリヨンで4月に見られればいいのですが...。
それはそうと、煙まみれだし、高所恐怖症の人には絶対出来ない大変なセットなんですが、一曲だけアリアがあるミロノフ君はそれを高所から決めることができました。でも、アルバーテってわざわざベテランの域のフランシスがやる役なのか??まったく意味のない出番なしの役。カンジェミの女性的な格好は見る機会はなかなかなかったけど、妙な癖もなくなって良かったけのに、役柄上シーファレ役のミルトに賞賛が集まっていた... 帰国したら来日の情報があったけど、完売とのこと...まっ、いいか (ギリシア人ってだけでカラスの名を使って売ったから、彼女を知らない人も買ったんでしょう)。ブルースはそろそろ厳しいけど、なんとかガンバっていたので、日本でのリサイタルがうまくいくことを願うばかり。彼は共演者との交流とかはどうでもいい人で、真っ先に足早に劇場を去る人なので、サイン会とかはリサイタル後にしてくれるのかは期待できないでしょう。って、ラ・モネで楽屋の出待ちなんてする人は誰もいない。というか、終演が11時近いので、そんなことする人は居ませんでした。って私もサインをもらうため行った訳でなく、アサワ君にちょいと挨拶だけだったので、足早に帰った男性陣を捕まえてサインをもらったりはしませんでしたが...。っつ〜か、劇場脇で工事中で粉じんがひどくてその場にいるのは辛い。そうでなくても空気の悪い街で、外にはいない方がいい街なので...。薄汚いし、浮浪者、物乞い、ごろつきも多く、危険で辛すぎる街であるので、留まらず、アントワープに移動したら、駅も超キレイで街も空気もキレイだった (ある通りは夜中は危険とホテルの人が言っていたけど)。駅の横は動物園で、あの映画「ZOO」のロケ場所でした。
オー!ノーならぬオー!イエスってことで、今回の指揮者ウィッグルワースは来期からラ・モネの音楽監督となりますが、彼の指揮ぶりは非常によかったので、この劇場も今後はもっといい感じになるのではと期待します。