LA RONDINE

ジャコモ・プッチーニ:歌劇《つばめ
Giacomo Puccini : La Rondine, commedia lirica in tre atti

  • 台本:ジュゼッペ・アダミ
    Libretto: Giuseppe Adami after Dr A.M. Willner & Heinz Reichert
  • マグダ……………アンジェラ・ゲオルギュー Angela Gheorghiu : Magda de Civry
  • マグダ女中のリゼット…リゼット・オロペザ Lisette Oropesa : Lisette, sa femme de chambre
  • ルッジェーロ…………ロベルト・アラーニャ Roberto Alagna : Ruggero Lastouc
  • 詩人プルニエ…………マリウス・ブレンチウ Marius Brenciu : Prunier, un poète
  • ランバルド……………サミュエル・レイミー Samuel Ramey : Rambaldo Fernandez
  • ペリショー………………デイヴィッド・ワン David Won : Périchaud
  • ゴバン……………トニー・スティーヴンソン Tony Stevenson : Gobin
  • クレビヨン…デイヴィッド・クローフォード David Crawford : Crébillon
  • イヴェット…………………モニカ・ユーナス Monica Yunus : Yvette
  • ビアンカ…………アリスン・ケインブリッジ Alyson Cambridge : Bianca
  • スージー…………エリザベス・ディ・ション Elizabeth De Shong : Suzy
  • 青年アドルフ?……マーティ・シングルトン Marty Singleton : Il giovane
  • ジョルジェット……………アン・ノンマカー Anne Nonnemacher : Georgette
  • カブリエッラ…………ベリンダ・オズワルド Belina Oswald : Gabriella
  • ロレット…………………メアリー・ヒューズ Mary Hughes : Lorette
  • ラボニエ………ジェイソン・ヘンドリックス Jason Hendrix : Rabbonier, un maître d'hôtel
  • 遠くの歌手の歌声……アシュリー・エマソン Ashley Emerson : La voce lontana (A singer)
  • 演出…………………ニコラ・ジョエル Producer : Nicolas Joël
  • 美術………エツィオ・フリジェーリオ Sets : Ezio Frigerio
  • 衣装…フランカ・スクワルチャピーノ Costumes : Franca Squarciapino
  • 照明………ドゥウェイン・シューラー Lighting : Duane Schuler

Puccini - La Rondine / Gheorghiu, Alagna, Matteuzzi, Mula, LSO, London Voices, Pappano

ニューイヤーズ・イヴ・ガラとしてメトで72年ぶりに上演されたプッチーニの《つばめ》。
主演は当然、12年前に録音したゲオルギュー&アラーニャ夫妻で、彼等がトゥルーズで上演してたニコラ・ジョエル演出によるプロダクションを持って来たものなので、メトにとっての新演出なだけで、お馴染みの演目。しかし、初演以後、シャトレ、コヴェント・ガーデン、サン・フランシスコなどで上演するも、夫婦共演はなかなか実現せず、今回やっと再共演が実現して、やっと映像収録の運びに。
この初日はメトのストリーミング放送なので、映像は1月10日。世界各地の映画館で生中継で見られるけど、フランスはやっぱりこの二人ということでarteがTV生放送することに。でも、フランスの知り合いにarteを見てる人なんていやしないし、DVD録画なんてのも論外なので (TVは商品を見るツールでTV番組を見るものとして使ってない人が多いので)、フリジェーリオ&スクワルチャピーノ夫妻の20年代に舞台を移したアールデコ調のセットと衣装 (でマグダのヘアスタイルは一幕ではルルことルイーズ・ブルックス風)ということなので、TVよりはやっぱり劇場で見たいもの...(3000円ってのは他の国より安いとはいえ...)。
初日で大晦日ということでなんだか慌ただしい感じなので、10日までにはもうちょっと改善されることを期待したい出来。プッチーニの中では異質 (誰も死なないという点で)と言えどもやっぱりなんだかんだ好きなので、つい聞き入ってしまいます。この放送はreal playerを放送始まってから立ち上げないと聴けないやっかいなもので、サイトからクリックして音が始まった頃にはトークがもう開始。で聞こえた男性のサブ解説でいきなり、「A Room with a View」とか言っていたので、このオペラの最も有名なアリア「ドレッタの夢」を使った映画『眺めのいい部屋』のことを話していたのかとおもいきや、単にそれを意識しただけのセットの話でした。オペラを聴き始めて買ったLPがキリ・テ・カナワの「プッチーニヴェルディ・アリア集」で、それで気になったそのアリアの全曲ということでがんばって買ったのが《つばめ》のCDだったので、非常に思い入れがあり、更にそうこうしていたら『眺めのいい部屋』のサントラでこのアリア集の音源を二曲使用していてビックリし、翻訳の出ていなかった原作を読んでいたら、映画を見られることとなり、納得....。以来、この二曲はこの映画以後一気に人気曲になり、ソプラノ・リサイタルではやたら聴く機会が増えましたが、キリ本人の歌も聴けたりしました。彼女ほど伸びやかに歌ったのはそうないので、なかなか満足といえるものは出くわしませんでしたが、ゲオルギューはCDでは及第点。しかしこの初日の感じはもうちょっと間の取り方とかタイミングがいまいちでラジオで音だけでは荒がわかってしまう。やっぱり演技付きでなんぼな感じが。アラーニャは彼女より声量がありすぎて合わせようという感じでないし、荒削りな感じ。でも役が向こう見ずなお坊っちゃんと思えば悪くない。昔は良かったレイミーはもう無理な感じ。リゼットがリゼットっていう歌手がやるというのはギャグのよう。プルニエはゲオルギューと同郷のブレンチウですが、おフランスの詩人という感じはしない。フランスが舞台の作品なので、役名はフランス名が多数あるけど、一部イタリア名なんで配役を日本語化するのは難儀なようだけど、やっぱりフランス名はフランス読みしている。アルミリャートの指揮はひょっとしたらCDのよりいいかもしれないけど、二幕の《ラ・ボエーム》風の群衆で歌う合唱は例の如くうるさいけど、この場面は大変な構成なのでしょうがない。
なお、トゥルーズでのエネスコ《エディプス王》の公演前に腰を痛めたかなにかで入院したニコラ・ジョエルは、この公演では演出に関わらず、コヴェントで再演演出をしたスティーヴン・バーロー Stephen Barlow が担当したとのこと。全快を祈ります。ジョエル氏は来期、パリ・オペラ座の芸術監督に就任することによって、トゥルーズで上演していたようなパリジャンも羨む素晴らしいキャストによる気の利いた演目が次々と上演される予定になっており、これによってアラーニャ&ゲオルギューもパリのオペラ界に戻ることになっていて、この演目も上演予定とのこと (ベルギー出身の現監督は相当嫌われているようで、あいつのもとでは歌わないというフランス人が多いため、フランス人の配役とかやるべきような演目が消えていた)。なので、今回の収録がDVD化されるのは待った方がいいような気が....。ちなみにCDではリゼットだったインヴァ・ムラもジョエルのお気に入りなので、《ラ・ボエーム》(ロラン・ペリー演出、2Cがムゼッタ)、《ホフマン物語》《フィガロの結婚》、そしてグノーの《ミレイユ》に出演ということで楽しみというもの。ただ《ギヨーム・テル》の数年ぶりの公演でアルノールをマルチェッロ・ジョルダーニというのは、この前のメトでの《ファウストの劫罰》での発音を考えると??ですが...。前の公演の映像は結局表題役のアメリカ人が発売をOKしないようで、出ないし、そいつ抜きで新演出にしてもらった方がうれしいけど (でギヨームはミケーレ・ペルトゥージに決定。なら《グリエルモ・テル》版の方にする方が無難。ただパリ・オペラ座なのにバレエを入れない版で上演するのはもったいない。ペーザロではフェリの踊りに救われた公演だったし)。
なお 、アラーニャは二月にこの《つばめ》の初演劇場だったモンテ・カルロで《アンドレア・シェニエ》を始めて演じることになっていて、2月公演はキャンセル魔のジュゼッペ・フィリアノーティが代わりをつとめるようだけど、12月のスカラ座ドン・カルロ》初日も出なかったりして、本当にやるのかどうか?ゲオルギューも一気に冷めるだろうし、モナコに行きたがるだろうから、またインヴァ・ムラがパリ公演みたいにかわるということが??? ないか... (二月の公演がなさそうなのでひょっとしたら)。それはともかく、コヴェントでDVDになった《カルメン》の再演に来期でるようだけど、これはゲオルギューは出たがらないような演出だったので彼女は出ないと思うけど、今年の大晦日はメトで遂に新演出となる《カルメン》をリチャード・エア演出、マシュー・ボーン振付で再共演する予定なので、これこそHD上映を見たいもんです。エアといったらゲオルギューがブレイクするきっかけとなった《椿姫》の演出家だし... (そっちは日本で遂に公演するようだけど、ゲオが本当に日本で演じるのか??)。
なお、休憩中のゲストはまったく関係ないジョイス・ディドナートでしたが、なぜかというと激寒でお休みの間のカーネギーホールでの演奏会に出るから、その告知もあってのことでした。で、プッチーニの役を歌う機会がないから「Puccuni Hate Me」Tシャツを着ているとか冗談を。