WARNUNG VOR EINER HEILIGEN NUTTE
「聖なるパン助に注意」Warnung vor einer heiligen Nutte (1971)
- 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー Rainer Werner Fassbinder
- 撮影:ミヒャエル・バルハウス Michael Ballhaus
- 音楽:ペア・ラーベン Peer Raben
出演
- ジェフ、監督------ルー・カステル
- 本人--------------エディ・コンスタンティーヌ
- ハンナ、主演女優--ハンナ・シグラ
- リッキー、俳優----マルクヴァルト・ボーム
- ザシャ、製作主任--ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
- 撮影監督----------ウリ・ロメル
- 製作秘書----------マルガレーテ・フォン・トロッタ
- 写真家------------ヴェルナー・シュレーター
- イルム------------マグダレーナ・モンテツマ
- 照明監督----------ルドルフ・ヴァルデマー・ブレム
- 端役女優----------イングリット・カーフェン
使用音楽
『レナード・コーエンの歌』
The Songs of Leonard Cohen
(1968)レナード・コーエン Leonard Cohen
「スザンヌ」Suzanne
「マスター・ソング」 Master Song
「シスターズ・オブ・マーシー」Sisters of Mercy
「さよならマリアンヌ」 So Long, Marianne
『スプーキー・トゥー』
Spooky Two (1970)スプーキー・トゥース Spooky Tooth
「アイヴ・ゴット・イナフ・ハートエイクス」
I've Got Enough Heartaches
(マイク・ケリー&ゲーリー・ライト作)
「ハングマン・ハング・マイ・シェル・オン・ア・トゥリー」
Hangman Hang My Shell on a Tree
(ゲーリー・ライト作)
『ラスベガス万才』
Viva Las Vegas (1964)「サンタ・ルチア」
Santa Lucia
エルヴィス・プレスリー
Elvis Presleyガエターノ・ドニゼッティ Gaetano Donizetti
歌劇《ランメルモールのルチア》Lucia di Lammermoor
狂乱の場「苦い涙をそそげ」Spargi d'amaro pianto
マリア・カラス、ソプラノ Maria Callas, soprano
トゥリオ・セラフィン指揮 Tullio Serafin, cond.
フィレンツェ五月祭合唱団及び管弦楽団
Coro e Orchestra del Maggio Musicale Fiorentinoガエターノ・ドニゼッティ Gaetano Donizetti
歌劇《ロベルト・デヴェルー》Roberto Devereux
狂乱の場「生きて、裏切り者」Vivi, ingrato
ベヴァリー・シルズ Beverly Sills, soprano
チャールズ・マッケラス指揮 Charles Mackerras, cond.
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Philharmonic OrchestraBEVERLY SILLS as Elisabetta (Queen Elizabeth I)
(女王三部作)
(DVD)YouTube
(BBCでの映像 3:40過ぎ)Beverly Sills - beverlysillsonline.com - Biography, Discography, Annals, Pictures, Articles, News
グルベローヴァがパリの演奏会で「生きて、裏切り者」を歌うというニュースがあったので、その歌を使った映画がDVDとしてリリースされることになったので、ついでにご報告。
それは、ファスビンダーが71年に作りながらも、それらの音源の権利をクリアせず使用したため、公開が見送られた呪われた作品『聖なるパン助に注意』である。そんなこともあって、日本では当然見る機会はなく、海外でも特集上映が組まれてもこの作品は組み込まれなかったりするので、なかなか見る機会というのがなかった。もし見ることが出来ていたら、ダニエル・シュミットとの話もスムースにいったのだが。シュミットが『季節のはざまで』のプロモーションで来日した際に配給会社の人が経営している飲み屋に来てるからということで、いそいそ出向いたら、いろいろと話をすることができ、映画をそっちのけで、オペラの話ばかりしたのですが、その時に言っていたのが、《シャモニーのリンダ》でグルベローヴァと意気投合したので、今後は彼女の主演でドニゼッティの女王三部作を演出したいということだった。でも、その頃はドニゼッティのCDが次々とリリースされて新譜を買うだけで精一杯で、古い録音とかやCD化されていないLPにまで手を出すほど余裕もなく、《アンナ・ボレーナ》と《マリア・ストゥアルダ》(グルベローヴァも録音していた)は聴いていたけど、《ロベルト・デヴェルー》(デヴェリューじゃない。英語だとロバート・デヴェルクス)は、聴いた事がないと言ったら、「ベヴァリー・シルズが録音した名盤あるし、映像にももなってるから」と言われたのである (今ではグルベローヴァの公演の映像とかでお馴染みの作品で、昨年は日本でも演奏会上演して話題になったけど)。その後、この『聖なるパン助に注意』を見たら、そのシルズが歌った録音による「生きて、裏切り者」がエンディングに流れたので、もうそんなところで、その盤が使われていたのかと!いこうことが分かり、納得。この頃の彼は初めて監督作『主人の蝋燭を節約するため...』(劇中にエルヴィスの「Love Me」を勝手に使用しているため、商品化は絶望的。ファスビンダーと共にシュミットもエルヴィスにはまっていたよう)を監督し終え、ファスビンダーがイングリット・カーフェンとの新婚旅行に同伴したりしていた。それに、この映画にはヴェルナー・シュレーターが彼のヒロイン、マグダレーナ・モンテツマと一緒にだら〜っと出ており、しかもモンテツマの場面ではマリア・カラスの音源を無断使用した《ルチア》の「苦い涙を流せ」なんかも使っている。この映画の後、二人は例の『マリア・マリブランの死』に取り組み、この映画以上に音楽使いまくってとんでもない作品を作り上げたのである。